賃貸の退去時、襖・障子の張替え代は誰が払う?
「襖が日に焼けて茶色くなっているけれど、これは自分が払うのか」
退去の立ち会いでよく出る質問です。結論から書きます。普通に住んでいてついた日焼けは、借主が払うものではありません。
ただし、何でも貸主負担というわけでもありません。どこで線が引かれるのかを、順に見ていきます。
原則は「経年変化・通常損耗は貸主の負担」
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版・平成23年8月)では、経年変化と通常の使用による損耗の修繕費用は、賃料に含まれるものとして扱われています。
つまり、住んでいるあいだの家賃で既に払っている、という考え方です。
襖紙や障子紙でいえば、次のものが経年変化にあたります。
- 日が当たって全体が黄ばんだ、茶色くなった
- 年数が経って紙が波打った、たるんだ
- 引手のまわりが自然に薄汚れた
これらは、住んでいれば必ずそうなります。避けようがないものは借主の責任にならない、という整理です。
借主の負担になりやすいのはこちら
一方で、故意・過失、あるいは手入れを怠ったことによる損傷は借主の負担です。襖と障子でいえば、次のようになります。
| 状態 | 負担 | 理由 |
|---|---|---|
| 全体の日焼け・黄ばみ | 貸主 | 経年変化。住み方では避けられない |
| 年数によるたるみ・波打ち | 貸主 | 同上 |
| ペットが引っかいて破った | 借主 | 通常の使用ではない |
| 物をぶつけて開けた穴 | 借主 | 過失 |
| 結露を放置して広がったカビ | 借主 | 手入れを怠ったため |
| タバコのヤニによる著しい変色 | 借主 | 通常の使用を超える |
| 子どもが指で開けた小さな穴 | 分かれる | 数と大きさによる(下記) |
いちばんもめるのは「日焼けか、汚したのか」
線引きが割れるのは、見ただけではどちらか分からない場合です。
たとえば、子どもが小さいころに指で開けた障子の穴。1か所なら過失として扱われることが多いのですが、年数が経って紙全体が弱っていれば、そもそも張り替え時期だったという見方もできます。
こういうときに効くのが写真です。入居したときと退去するときの写真が残っていれば、話が早く終わります。スマホで1枚撮っておくだけで十分です。
状態を見てほしいときは、LINEで写真を送っていただければお答えします。
1枚だけ破れた場合、1枚分で済むのか
これも質問の多いところです。
襖は同じ部屋に何枚か並んでいます。1枚だけ新しい紙にすると、隣と色が揃いません。そのため「部屋の襖を全部替えるのが当然」と言われることがあります。
ガイドラインの考え方では、負担の範囲は毀損した部分が基本です。他の面まで含めて借主に求めるには、それだけの理由が要ります。全部替えるかどうかは、貸主と借主の話し合いで決まります。
紙の色を揃えたいという理由で全体を張り替えるのであれば、その差額をどちらが持つのかを先に決めておくと、後でもめません。
退去が決まったらやっておくこと
- 入居時の写真を探す。無ければ今の状態を撮っておく
- 破れ・穴・カビの場所を数えておく
- 見積書は「一式」ではなく、枚数と単価で出してもらう
3番目が大事です。「襖張替え 一式」とだけ書かれた見積書では、何枚分なのか、経年変化の分まで入っているのかが分かりません。
貸主・管理会社の方へ
金沢屋 真岡店では、賃貸管理をされている法人さまからのご依頼も承っています。退去のタイミングに合わせて、複数戸をまとめて施工できます。枚数とスケジュールをお知らせいただければお見積りします。
※ この記事は国土交通省のガイドラインの考え方を整理したものです。個々の契約内容によって扱いは変わります。実際の負担は契約書と貸主・管理会社との話し合いによって決まります。